ここでは、和紙とくに檀紙や手すき和紙、奉書紙など。。。少しよい和紙で作ってみた金封をご紹介いたします。

 

最近は、市販の金封も素敵なものがたくさんあります。

紙の種類はもちろん、

変わった折りが入っていたり、

水引きも豪華で素敵で、

その多くは。。。自分では絶対に作れない!

と思うものです。^^

 

しかし、

どなたかの。。。。善き事のお知らせを頂いた時、

あるいは

大層お世話になった方に。。。紙幣を包んでお礼の気持ちとしたいとき。。。

または、

どなたかの御悔みに。。。その方を偲びながら心を込めて御供えを準備する時。。。

 

紙を選んで、手ずから折って金封を仕上げてゆくその過程は、

自分の中にある温かな気持ちを伝えるひとつの方法であり、

仕上がった金封は気持ちを伝えるひとつの道具である。とも思います。

 

自分の中にある温かな想いを込めること。それを伝えようとすること。

 

素敵で立派なものから、便利でお手軽なものまで。。。

様々なモノがあふれる今、

少々へたくそでも。。。思いのほか時間がかかってしまったとしても、^^

いつも必ずできるわけではなくっても。。。

自分の気持ちを丁寧に表現しようとする事って、とても大切なことかもしれません。

その過程そのもが、

自分自身を豊かで優しい気持ちで満たしてゆくことだと思うから。

 

 

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 例えば檀紙にもいろんな種類がありますが、

大きな特徴としては、縦に入った「しぼ」です。

松の皮のような。。。波状のしわというのか。。。でこぼこがある和紙。^^

柔らかいものから、硬めのしっかりした感じのものまで様々ですが、

手漉きの檀紙は、和紙の中では最も格が上と聞いたこともあります。

 

 奉書紙と呼ばれる和紙にもまた多くの種類があり、

価格もさまざま。

白が基本だとは思いますが、

白と一口に言っても様々な白があり、おもしろい。

クリーム色のような薄黄色や、薄い水色も見たことがあります。。。

 

柔らかいけれど適度な厚みもありますので、

金封として折り上げるとかなりしっかり感のある上品な金封に仕上がります。

けばが立ちやすく、

その部分が汚れやすい(というか薄汚れて見え始めるのが早い。という感じ。^^)

ので、何度も折り目を撫でたりしないように、笑 一気に仕上げます。

 

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このタイプが手漉き和紙を使ってはじめて仕上げた金封のような気がします。

手漉き和紙は、地元秋月の「筑前秋月和紙処」さんで求めたものです。

上の画像の桃色のラインは、別紙を挟み込んだのではなく、

スマッジーで桃色にしたもの。

まだ。。。あわじ結びの5筋バージョンをちゃんと仕上げることができなかった頃の金封。^^

 

そして上の画像は、

少々厚手のコシのあるタイプの手漉き和紙です。

手漉きの和紙の特徴でもある和紙の耳を活かして。

赤顔紙のラインや桃色の手漉き和紙のライン、五筋のあわじ結びで整えてみました。

こちら↓は、最近作った5筋の「梅結び」

 

上の画像は、最初の頃に良く作っていたパターンです。。。

帯はつけずに、

金封として仕上がった姿の美しさのみを追求したカタチ。笑

 

この手漉き和紙に。。。直接自分の名前を書ける人は、相当に!書に覚えがある方ともいえるでしょうね。笑

一般的な感覚としては、非常に不親切な金封でもあります。笑

雪輪松竹梅のエンボッサーのみほどこしたカタチ。

帯を挟んだカタチ。

福寿エンボッサーは、福と寿を別々に少しはみ出しながらエンボスしています。

檀紙は半裁サイズを使っています。

↓は、檀紙1枚使い。仕上がりサイズが、100㍉×200㍉くらいになります。

この水引の結びは「梅結び」。

「あわじ結び」からもう一歩進めた全体的に丸みを帯びた結びになりますので、

同じ5筋の水引を使っても、あわじ結びよりもボリュームがでます。

わたくしは「梅結び」や「あわじ結び」を作るとき、

必ず丸く膨らませて作りますので、

「梅結び」の方が、和紙の平面に対しておさまりがよい

と申しますか。。。ぴったり落ち着く。^^ 感じが致します。

こちらは↓

市販されているあわじ結びは、こんな感じのものが多いと思います。

これは、3筋で作ったものですが、赤白各7筋で作られていることが多いですね。。。

色を混ぜない時は、向かって右が赤、左が白になります。

 

ところで、上のタイプは、最初から後ろが繋がっている水引を前で結ぶ。

という事になりますが、わたくしが通常やっているのは、あわじ結びだけを先に作っておいて、

そのあわじ結びの脇から水引を通して後ろで結ぶ。

という順番になります。

最初からつながっている水引を求めてくる場合は別ですが、

通常、自分で後ろを留めなければなりません。

そしてこれこそが、あわじ結びを作るより!面倒な(時間がかかる~)作業となります。

少なくともわたくしにとっては。

緩過ぎてもいけませんし、きつ過ぎてもいけません。

しかも一回留めてしまうと修正はききません。

最後のこれが。。。最も時間がかかる。といってもよいかもしれません。

 

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そこで、あわじ結びを使わず、もっと気軽に使える金封です。^^

気軽に使える。そしてストックしておくと結構重宝する金封でした。

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これは、檀紙半裁サイズで作ったもの。

このサイズだと、どうしても「しぼ」横に流れてしまい、

それがとても気になっていました。

お盆などの木目の流れも気にする日本人が、

贈答用目的の金封の紙目の流れを気にしないはずはない!

と思い込み、^^

檀紙は、少々立派過ぎても一枚仕立てで使わねばならない。

と思っていました。

 

少々ハナシは逸れますが。。。

本来は一枚仕立てで作るモノだと思います。

それがいわゆるオーソドックスなカタチ。ということですが。

 

一枚仕立てで作りますと、

例えば市販の金封(祝儀袋)などに比べ若干大きくなりますし、

折り重なる紙のボリュームも増えるため、厚みもまし、大層立派な風情を醸し出すため、

中身も相当でなければ釣り合いません。

3万円くらいまでの包みには、少々外見が立派過ぎるという感じをうけるのです。

 

現代の紙幣価値では10万円くらい。。。最低でも7万円とか。。。

細かいハナシですが。笑

 

和紙としての格上の紙であるという事を考えても、

その和紙を使った金封に包むのならそのくらいの額が妥当。

という事もまさしく理に適っているとも言えます。

 

けれど、10万円相当の包みをそう頻繁に行うのか?

という事を考えると、

少なくとも己の日常生活では、しょっちゅう行うことではなく、

せっかく作った金封を、ちょこちょこ使いたい。笑

という卑近な欲望に照らすと、一枚仕立ての金封は、とりあえず持っているだけで満足。

という感じになってしまいます。

 

常々。。。

日常生活が最も大切。と思っておりますので、

出番の多いモノやコトに丁寧にという意味でも、

檀紙や奉書紙は半裁サイズで仕立てたもの。が、最も出番が多く、

ストックしておくと便利なもの。という事になります。

わたくしの日常生活では。。。ですが。^^

 

ハナシは逸れまくっておりますが、

 

あるとき、お世話になっている紙屋さんにお尋ねしたところ、

いろいろお調べくださって(さすが!)

最終的に

檀紙を漉いている(作っている)職人さんに確認してくださったことがございます。

 

檀紙のしぼが横に流れて使っても、

気にする必要はない。

とのことで、

逆にそこまで気にして使ってくれて嬉しい。。。とのことであったとか。

それからは、安心して!!半裁サイズで作ることができるようになりました。感謝です。^^

 

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ここ一年くらいはこのパターンで作っていることが多いのですが、

檀紙の「しぼ」の上に直接遊印を捺すのは、かなりのハイリスク。

角捺ししてしまったり、

ビビるあまり、均等に力を入れられずどこかがキレイにうつっていなかったり。。。

遊印の絵柄によっては、

しぼ上で、きれいな印影をとること自体、そもそも難しいものも多くあります。

 

そこで帯登場。^^

この帯は、奉書紙を使っています。

奉書紙は、しぼが入っていないのと、和紙の表面が滑らかですので印は捺しやすいです。

また帯ですと。。。失敗しても帯一枚の失敗で済みますので、

金封に直接押してダメにするびくびく感を思いますと、格段にストレスも減り、

そのおかげか、失敗も少なくなるというのは、人間の性か?笑

 

こうやって、金封は金封で、慶弔2種類の折りを、

帯は帯で、裁断して用意しておくと、

すぐに取り掛かることもでき、安心です。

 

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帯いろいろ。

帯は、まっすぐ置きましょうね。笑

帯が少し長めなのは、

最終的に名前を書いたり、捺印したりしてから整えたいということと、

仕上がった折形のサイズが微妙に異なることもありますので、

最終的に、それぞれに最適な長さの帯にする。

ということで、少し長めで最初は用意しています。

 

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そしてこれは、三点セット^^

「御禮」「お見舞」「御祝」の帯。

自分で作った金封をどなたかにプレゼントしたいとき、

こんな風に帯をつけて差し上げると、

とっても喜んでいただけます。

差し上げる時は、こんな風に。

収納を兼ねた紙ばさみです。

お渡しする時の姿。

 

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これは、あわじ結びを使わずに、水引を熨斗代わりにつかったもの。

遊印は使わずに、エンボッサーだけで仕上げています。

こちらは、エンボッサーも使わず、無地のまま。。。折りも変えて、手漉き和紙を使ってます。

 

こんな風に仕立てた場合、

中に入れいている内包みに、そのお包みの目的や、贈る側の名前などを書くようにしています。

向かって右が内包み。

半紙を使っています。

この、のし鮑を作って貼り付けねば完結しない!

と思い込んでいて時期もありましたね。。。

下は、少し優しい系で。

真赤なスタンプパッドでスマッジーしたものです。

赤ちゃんのお誕生祝いをお包みするときなど。。。良いかもしれません。^^

 

こちらは、不祝儀。

内包みは、開いたところに、名前だけではなく住所や電話番号もゴム印で捺すようにしています。

折形の本など拝見しておりますと、

金封の表書きに関しての記述があまりなく、迷うところです。

この美しく白い和紙に!下手くそな字で己の名前を書くのか!

と、

金封を前に固まってしまいますが、

市販の金封に多くありますように、帯を使用すると、

上書き(例えば「御祝」とか「御霊前」とか)や名前も、

手書きするなりゴム印を使うなり、もう少し気軽にできそうです。

 

 

「折形レッスン」(著:山根一城)によると、

「手渡しが基本で、折形自体が目的を表しているので、上書きは不要です。」

とあります。

もちろん。。。手渡しといっても受付などに渡す場合、混乱しないように気遣って上書きも名前も必要だとも。

 

 

わたくしの場合は。。。ですが、

自分が作成した金封を使う時には、

ごくごく親しい間柄で、顔を見ながら、

例えば、「おめでとう!」と喜びを伝えつつ、直接お渡しできるのなら、

上書きも、金封の表に自分の名前も。。。

書いておりません。

 

但し、内包みには、自分の名前はもちろんのこと、

状況にあった遊印をあしらうこともありますが。

 

渡された方が、後にわからなくなってしまい

無用の悩みを増やしてしまうことになるなら、本末転倒ですし。^^

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こちらは、前述の「筑前秋月和紙処」さんの手漉き和紙を半裁して作った金封。

ちょっとカジュアルな雰囲気で、気軽に使えるタイプです。

和紙もやわらかめのものを選び、紙の重なりも少なくなりますので、

同じ赤顔紙のラインを使ったものでも、優しい雰囲気の包みになります。

水引きも、赤×白の組み合わせではなく、

絹引きのベージュと白であわじ結びを作っています。

 

手漉き和紙ってやっぱりいいなぁ。。。と思わせてくれる風情です。 

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これらは、檀紙を半裁して仕上げたサイズ。

お見舞用のの金封です。

それなりの年齢になってまいりますと、

急に!お見舞に伺うことが増えますねぇ。。。

 

市販のものは、太目の朱のラインが入っていることもあったりして、

具合が悪い方や、思いがけない災難などで。。。心身ともに弱っていらっしゃる方が、

癒されるような風情ではないなぁと思うことがあります。

 

そういう状況にある方に、おかけする言葉はなかなか見つかりませんが、

せめて少しはほっとできるような、ほんの少しでも気持ちが温まるような

そんな雰囲気の包みを用意したい。

と、思って作ったものです。

小さな「お見舞」の印は、さりげなく使えて重宝です。^^

いつもの赤顔紙のラインを使うときは、限界まで細く。^^

上の画像でライン使いしている桃色の和紙は、目にも優しい手漉き和紙で。

一気に雰囲気が和らぎます。

檀紙に遊印直捺し!に果敢に挑戦しておりますが、

別帯を使うとこんな感じです。

夕暮れ時に撮ったせいもあり、笑

少々さびしい雰囲気もありますが、

帯の下部に自分の名前を書くか印を捺し、

上下・中央の三か所くらい両面テープで留めてあげると落ち着きます。

わたくしはこのパターンで使うことが多いかな。。。

こちらは、金封そのもにはラインをいれず、

別帯に桃色和紙でラインをいれたもの。

ラインの位置を変えるだけで、

全体の雰囲気も変わります。

別帯ではなく、

中央で折りひだを作ったタイプが、下の画像です。。

この檀紙は裏がつるんとしていますので、

折りひだ部分に裏が出てくるようにすると遊印も捺しやすくなります。

 

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これは、とても気に入っているこっくりとしたベージュ色がとても美しい和紙で作ったものです。

かなり厚手の和紙なので、

とってもしっかりした、そして手触りの優しい包みが仕上がりました。

濃い赤顔紙の色がとてもよく合います。

文字印と墨枠のエンボッサーのみでシンプルモダンな雰囲気にしたつもり。^^ 

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友禅紙で作った金封です。

白地に金で梅柄がはいったもの。

赤顔紙と水引で作った熨斗でおめかしして。

今なら、雪輪松竹梅のエンボッサーを使うでしょうね。。。

この時はまだ雪輪松竹梅のエンボッサーは、この世に存在していなかったのかも。きっと。^^

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最後に不祝儀用の金封

まずはシンプルに。

遊印も帯もエンボッサーもないスタイル。

ほんとうは。。。このなにもないシンプルなカタチが最も好き。

何度も言っていますが。^^;

これは、檀紙で折ったものに薄いグレーの和紙をラインでいれたもの。

墨枠のエンボッサーも良い感じ。

初盆のお参り用に作ったものです。

帯にグレーのラインをいれたり折形自体にいれたり。。。

少しラインを入れてあげると雰囲気が和らぐというか、優しい感じになるような気がします。

水引きの色合わせを変えて。

亡くなって、日にちが経つにつれ。。。

悲しみも薄れてゆくよう白の本数を増やしてゆく。

というような作り方も、表現方法のひとつかもしれません。。。

少し生成りがかった手漉き和紙で折ったもの。

若干透け感がありますので、

暑い頃の初盆のお参り用に作ったものです。 

これは、実家の父の命日でしたか。。。帰れなかった時に母に送ったものだったと思います。

父の好きだものをあげてほしくて。

気軽~。笑な 雰囲気。

ですが、

御悔みの際に使う場合、

名前の印も朱ではなく黒で捺します。

瓢吉相印も、黒で捺すと雰囲気が変わりますね。。。

 

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きちんとした金封を作りたい時、

和紙の種類はもちろんですが、

色や手触り、薄い紙か厚い紙か。。。

一般的に言われるキマリゴト以外にも、

自分の五感を使って、その状況にふさわしいか?

ということを感じとり、判断することが大切なのだ。と思うようになりました。

基本を無視してよいという事ではありません。

けれど、

時代が変わり、世の中的な。。。人のきもちや感じ方も変わってゆくにつれ、

その時々の状況に合わせた「包み」を選ぶことができる。

ということが大事なのだと思います。

市販の金封も。。。それこそあふれるように素敵なものがございますし、

自分で作らなければ気持ちが伝わらない。というようなことでは決してなく、

状況にあわせるだけではなく、

お相手のことを想って、

用意する。

その過程が大切。

と、作るほどに。。。思うようになりました。

 

平成28年3月

九甘堂 古賀あき乃