「遊楽の印」上手な捺し方
ゴム印と違って繊細で硬質な印影が特徴ですが、キレイに捺すのには少しコツがいります。
ゴム印のように、ぽんぽんと軽く押しても美しい印影が取れませんので、コツをまとめてみました。
1. 下敷きについて
最も重要なことです。^^
多くの方が下敷きを調整することできれいに捺せるようになっていただけます。
【まず、コピー用紙1~2枚重ねたものから試してみてください。】
印鑑なので印マットで!と思ってしまいますが、
印マットではきれいな印影が取れません(遊印に関してのみの話です)。
印面が沈みすぎて角捺しリスクが高まりますし、くっきりした印影も取りにくいです。
机の表面に凹凸がなければ、むしろ何も敷かない方がうまく捺せることがありますが、
あまり硬質な素材の上で押し続けますと印面を痛めてしまいます。
紙1枚でよいので敷いて下さい。
白文タイプ(面でインクがつくもの。字が白く出るタイプなど)などは、下敷きの紙の枚数を少し増やして試してください。
薄い和紙などに押印する場合、下敷きの紙自体の凹凸も影響することがあります。
下敷きにはできるだけ表面が滑らかなものを選んで下さい。
因みに私が最近使っているのは硬筆用の下敷きです。↓
どの印面タイプにもこれ一枚で対応してくれます。
いろんな硬筆用下敷きがありますのでご参考までに。
2.まっすぐ捺す
まっすぐに、力を入れてしっかりと!捺します。
印材が小さく片手では力を入れにくい場合は、空いている手の人差し指で印材トップを抑えてあげるとうまくゆきます。
印面を紙からすぐに離してしまわず少し留まり、まっすぐにしっかり押しつけます。
印面の両側を削り込んでいるような遊印の場合は、どうしても角捺しのリスクが高まります。
その時は、インクをつけた後、綿棒などついて欲しくない部分のインクをさっと拭ってあげるだけでもずいぶん違います。
たくさん捺すときは面倒ですが。失敗するよりはずっと良い。という消極的選択。
例えばこういう子達
3.インク類(朱肉、印泥、スタンプパッド全般)
基本的に印鑑を捺すために作られているインク類はお使いいただけます。
様々な色を楽しむ、かつ印面の手入れや使いやすさなどで選ぶなら、まずスタンプパッドに軍配があがります。
が、柘植印特有の印影の繊細さを表現するのには少々物足りないのも事実です。
工房蓮ではartnicのみの取り扱いとなりますが、ものすごい種類の^^スタンプパッドが販売されていますのでお好みのの物が見つかることを祈っています。
国産朱肉は、スタンプパッドよりも粘度の高い印影をお楽しみ頂けますが、紙によっては若干にじみが出ます。
印泥に比べるとさらっとしているので、印面のお手入れとしてはずいぶん楽になります。
今までいろんなインク類を試してまいりましたが、最も繊細な美しい印影が取れ、又その美しさが持続するのは印泥(上海西レイ社 美麗)(中国産)です。
印泥は、それ自体の扱いに多少手がかかりますが(練る必要あり)、
今までいろんな紙上で印影がにじんだのを見たことがありません。秀逸。
4.紙との相性
線だけで構成される遊印は、基本的にどんな紙でもきれいに捺せます。
一方、白文タイプの遊印(インクがつく部分が多いタイプ)は、紙の表面に凹凸があるものはもちろん、
つるつるしすぎている紙もインクをはじいてしまうことがあり苦手です。
手漉き和紙なら良い、あるいは機械漉き和紙なら良いとかいうようにカテゴリでくくれないのと、
インクと紙との相性もありますので、実際にお試しいただくしかない。
ということになります。すみません。
又、遊楽の印は、紙へ押印するための道具です。
紙よりも堅い物(石や堅い木材など)に捺されたり、熱を加えたりしないで下さい。折れます。
5.お手入れ方法
・使用後に、印材側面と印面のインク(朱肉等)をティッシュなどで拭き取ってあげて下さい。
印面はティッシュを垂直に押し当て、インクを移すようにして拭き取ります。
・毎回でなくて構いませんが、はんこブラシで印面を軽くこすってあげるときれいな印影を保つことができます。
が、あまり激しくこすってしまうと折れます(例えば「蝶々」の触覚が折れてなくなったりします)。
はんこブラシに、印面を垂直に当て、印を小刻みに前後左右に動かしてブラシをかけます。
◆はんこブラシを使ったお手入れ◆ (短い動画でご覧いただけます。)
・長く手入れせずお使いになられますと、インク類がこびりついてしまいます。
そうなってしまった後で、竹串やピンセットなどで印影をなぞり、こびりついたインク類を取り除こうとすると、
折れてしまう事があります。ご注意ください。
・水で洗ったり、スタンプクリーナーでお手入れする必要はありません。印材に水分が浸み込んでしまうと印面を傷めます。
(印影が変わったり折れやすくなります。)
本柘植は、印材に適しており繊細な美しい細工を施す事が出来きる素材ですが、天然の木材です。
摩耗もしますし折れることもございます。
予めご了承くださいませ。
工房蓮 藤井あき乃