最後の清々しさ

最後の清々しさ

久しぶりにお祝い用の金封を作る。
和紙を折る事よりも、
水引(これは梅結び)を結ぶことよりも、
梅結びに通した水引を後ろで留めることに最も時間を割く。

地味に細かい作業で、
私にとってはそもそも難しい作業でもある。

水引をうっかり曲げないように、
後ろで留める作業に夢中になっている間に、
水引がくりっと交差してしまうことがないように、
左右から持ってきた水引の重なりが不格好に膨らまないように、
そして緩すぎるとだらしなく(最悪)、
強めだとなんだか余裕がない感じがするので、
ほどほどの引っ張り具合をキープしつつ和紙で留める。

と気をつけるべき事は、
どれも至極単純な事だけど、
ひとつひとつに気を留めつつ丁寧に進めないと、
最後の最後ですべてが水泡に帰すことになる。
自らのほんの小さな侮りで。

きっとそこに傷つくんだわ。と思う。
何もかも台無しにしてしまった原因が自分の軽い侮りに因るということ。

自分に失望してしまうと、浮上するのにわりと苦労する。

だから特に苦手な工程を含むモノ作りは、
最後の清々しさの為に丁寧を積み重ねる。

見通しよくいきましょ
藤井あき乃