そらさむくふゆとなる

そらさむくふゆとなる

二十四節気「大雪」にはいりました。
六十二候「閉塞成冬 そらさむくふゆとなる」。

「閉塞」を「そらさむく」と読ませているのはなぜだろう。
と思って朝から手持ちの資料や辞書を調べてみたけれどわからず。

「閉塞」を調べると「閉じて塞さぐ。閉ざされ、ふさがれる。」とある。

本格的な冬へ向けてさまざまな仕度を終え、
戸は閉じられ、その内側も外側もひっそりと時が進む。

冬、雪に閉ざされる国上山山中の五合庵に住む良寛の詩。

 

玄冬十一月  玄冬の十一月
      雨雪正霏々  雨雪正に霏々(ひひ)たり
千山同一色  千山は同一色
      万径人行稀  万径は人の行くこと稀なり
      昔游総作夢  昔游総て夢と作り(なり)
          草門深掩扉  草門深く扉(ひ)を掩ふ(おほふ)
       終夜焼榾柮  終夜榾柮(こつとつ)を焼き
    静読古人詩  静かに古人の詩を読む

               「この世この生」 上田三四二  より

 

今日は旧暦十月二十五日。
良寛がこの詩を作った時季にはまだ少し早いだろう。

そして自分の人生の中でこの状況を実体験することは、
過去はもちろん未来も含めて多分ない。

それなのに強烈な懐かしさを感じるのはなぜだろう。
寂しさも人恋しさをも抱き込んで、静かに満ち足りている感覚。

今の私は違うけれど。

懐かしいのではなく焦がれるような願望か。
そんなことを思った大雪の朝。

機嫌良くいきましょ
藤井あき乃