憬れと矜恃

憬れと矜恃

日本の文様その歴史(樹下龍児著)を読み始めてそろそろ9ヶ月。

昨年、年末までには読み終えるだろうと思っていたこの本をやっと読み終えた。
長かったな(ちょっと浮気していたが、ちゃんと戻った)。

特に最後の方は読み終えるのが惜しくなるほど興味深く、
たいそうおもしろかった。

明治時代に入り、
世界との交流が本格的に始まってから日本で起こり続ける変化の波を、
伝統工芸とか伝統文様に携わる人たちが
どう受け止めて、どう取り入れていったのか。

その頃生み出されたものを見ていると、
溢れる好奇心と憬れと矜恃が同時に詰まっているようで、なんだか泣ける。

そういえば。
と思い出したのが「超絶技巧!明治工芸の粋2014 2015」。
もう10年くらい経つんだなぁ。

何度も手に取り、そのたびに感動する図録だ。

つらつら眺めるだけではなく読み込んでしまう。
めちゃくちゃ小さな説明文を。笑

残念ながら(ほんとうに。今思うと残念さが更につのるが)、
私はこの展示会に行くことができず、
ブログに無念を綴ると、それを見た方が図録を譲って下さった。

神か。
と、その時も思ったけれど、今はもっとそう思う。感謝しかない。

これは印籠たち。

以下【超絶技巧!明治工芸の粋】より引用

「縦、横わずか数センチの小さな空間に、蒔絵や螺鈿、金工、七宝などによって精巧な装飾が施された印籠。携帯用の薬入れで、ひもの上端についた根付を帯にはさみ込み、腰から提げて用いる。印籠の表裏を利用して、ストーリー性のある意匠を表すなど、機知に富んだデザインも魅力のひとつである。
近世初期には用いられていた印籠は、武士や富裕な町人たちに愛用されたが、明治期以降には観賞用の小さな美術品として欧米でも人気を博した。」

以上

 

これが薬入れだなんて。
一段一段違う文様ですよ。
全体の縦幅が7.7センチとあるので一段は1センチ強というところか。

実際に使用されていたモノではないのだろう。
美術品として作られたモノと思いたい。と思うほど素敵。

これを作った人も素晴らしいけど、
もしふつうに薬入れとして使っている人を見たら、
見てしまったら!
他のすべてが破滅的でもついて行く。

いきなり低次元な自分だが。

けれど
日本人的美意識を強烈に感じる印籠であることは間違いない。

ちなみに中央の印籠は、
7.7センチ×6.3センチ
塩見政景(杣田細工)さんという方がお作りになった印籠だそうです。

 


今週はどんな一週間でしたか?
弥生月も終わりますね。。。
今日もここに来て下さって本当にありがとうございます。
どうぞ。。。それぞれに幸せな週末でありますように。
藤井あき乃