触って思い出すこと

機械漉き新和紙「富士」で作った簡易金封です。
久しぶりに使っている「富士」だけど、
触っていると昔のこと(10年以上は前か。。。)をいろいろ思い出す。
触覚で記憶が呼び覚まされるってあるんだなぁと思う。
蘇ってくるのは、紙(富士)に直接関係していることよりも、
そのころの生活の一場面で、
部屋の散らかり具合とか、
右側にあった窓から差し込む夕日に染まる手の甲とか、
朝目覚めたときのきもちとか、
早朝時間に飲んでいたコーヒーのこととか。
「匂い」もそうだけど。
見たり聞いたりして記憶したことよりも、
触ったり嗅いだりした記憶のほうが、
色がついていて動いている感じがある。
自分自身も気配となってその中にあり、
ただなつかしく愛おしい。
これが岡潔氏のいう情緒なのかな。
あまりに日常過ぎる瞬間だけど。
同じような経験を、
数え切れないほど繰り返しても、
その瞬間は、やっぱりその瞬間だけだったことを今痛切に思う。
意図せず降り積もってゆく小さな経験は、いずれきっとその人だけの宝になる。
この状態も気に入っていたのだけど、
一日おいて、見直して、もう少し。。。と性懲りもなく悪い癖が出て水引を。
この方達には水引があった方がよろしかろう。と思う。
きげんよくいきましょ
藤井あき乃