蛍のページ

先日染めた杉原紙※を透かして作った香包み。
源氏香図印は蛍(9ミリ印影)※
表側の紙も杉原紙。
ここ数年作っているパターンだけど、
今年は真っ黒の和紙ではなく、
納戸鼠と縹をあわせた色に染めた杉原紙を挟んでみた。(左下の二枚)
少し柔らかい背景となって、灰色濃淡の印肉が映えてくれる。
昨日あたりから湿度が上がっているけれど、
蛍はどんな様子かしらと北九州市の蛍飛翔情報をみたら、
既に結構飛んでいる模様。
毎年、このページを見る度に思うが、
人の素直な楽しさと善意を感じる。
そんな人達が同じ街に住んでいると思うと嬉しい。
田舎に住んでいたときに、
家の前の用水路に蛍が舞うようになったら電話をくれる方がいた。
まっすぐに伸びる長い用水路いっぱいにふわふわ舞う蛍は、
光る川のようで、
どれだけ見ていても飽きなかった。
用心していないと用水路に落ちてしまいそうな暗闇の中、
水の匂いと、
ある瞬間から一斉に始まるカエル達の合唱と。
この時季に必ず取り出す美しい記憶の1ページ。
きげんよくいきましょ
藤井あき乃