丙午の遊印

お盆だけど年賀用のぽち袋をつくった。
来年の六十干支(丙午 ひのえうま)ので遊印を試作したのでそれを捺してみたかったから。
朱文タイプはともかく、
たまには隷書でとつくった白文(短冊型)印は、
物干し竿ではためく洗濯物の風情だ。
なぜこんなことに。
画面上ではちっともそんな雰囲気ではなかったのに。
捺してみて「え?」と思う瞬間はつくった本人だけが体験する小さな衝撃。
こういうときは全部忘れて最初からやり直すべし。
力が抜けきる。
終わったのかと思った雨がまた降り出した。
屋根の上を伝う流れに深さがある。
風景は再び白く煙って雷まで鳴り出す。
降ってくる雨はどうしようもない。
少しでも早く落ち着いてくれることを祈るのみ。
藤井あき乃