憬れの領域へ

憬れの領域へ

久しぶりにこの折形をつくってみた。
最初に作ったのは、
私が「折形」の本を手にする前だったか後だったか。。。
既に記憶はないけれど。

ひと折り目とふた折り目をしくじると、うまく仕上げることができないので、折り図を作り、ご要望があればお配りしていた時期もあったなぁ。
今でも私は折り図がないとうまくできない。

ささっと折って、きもちをカタチにして伝える。
のちほど改めてではなく、
今この場で完結させるための礼のカタチ。

とっさの判断でも慌てず間違えない。
てぬかりがない「オトナの心得」に憬れながら
この折形を作っていた頃の私は、その時既に十分オトナだったけど、
20年近く経った今、あのころ憬れていた領域には全然入り込めていない。
美しく成熟を重ねている予定だったはずなのに。

道具だけ持っていてもだめなのね。
と思う。
20年という年月は、時間としてはかなり重たいけれど、
そこにたどり着きたいと切望する想いがなければ、
風のようにふわっと通り過ぎてしまうものなのかも。

ひとの命の長さを思うと、
20年後の自分を想像するのは厳しいけれど、
憬れの領域の縁くらいには立っていたいな。

見通しよくいきましょ

藤井あき乃