甕覗(かめのぞき)

甕覗(かめのぞき)

いつものサイズ(仕上がり:60ミリ×135ミリくらい)で封筒をつくりました。

白地に水浅葱色(よりもう少し明るめ)の雪華模様が美しい京からかみ(ハギレセット)。
画像ではよくわかりませんが、
超厚手のトレーシングペーパーのような質感の紙です。
ぼんやりと向こうが見えるような見えないような障子感覚。
これも和紙なのでしょうね。いいなぁ。

雲母摺りの雪華がそれはそれは美しく!
この季節を待っていました。

隣に組み合わせたのは、
福西和紙本舗さんの藍染めの手漉き和紙。
何年も前に求めた和紙ですが、
手元に届いたときよりも更に色が抜けた感じになっており、
今回使った京からかみに合わせてみたら、あつらえたようにぴったり。

藍染めの和紙は手持ちの色辞典だと「甕覗」という色に近いかな。。。
と思いますが、
もう少し灰色がかった感じの色になっています。
きっと「甕覗」よりもより近い色名があるのでしょうね。
いつか見つけられるといいな。

この「瓶覗」の説明が興味深いので引用します。

 



甕覗 かめのぞき

きわめて淡い藍色、もっとも薄い藍染めといえるだろう。

この色名のいわれには二説ある。

一つは、藍甕に布をほんのわずかの時間浸けて引き上げた、

すなわち、布は藍甕のなかをちょっと覗いただけで出てきてしまったから染まり方も薄い、というもの。


もう一つは、甕に張られた水に空の色が映ったような淡い色合いだから。

こちらは、空を映す甕を人が覗き見たもの。どちらにしても遊び心いっぱいの色名である。

「覗き色」ともいわれ、ほんの少し染まって白い布が白でなくなるためか、

「白殺し」ともいわれたという。

 

 

そして、志村ふくみさんの「一色一生」の中に「かめのぞき」という題がつけられた文章も感慨深い。
文庫本でわずか3ページの短い文章だけど心にしみる。
何度も読み返してしまいます。
その中の一文。

 

仮に一つの甕に藍の一生があるとして、

その揺籃期から晩年まで、漸次藍は変貌してゆくが、か

めのぞきは最初にちょこっと甕につけた色ではなくて、その最晩年の色なのである。



最晩年の色。
この藍染めの手漉き和紙の色はまさにそんな色だと思う。
すべてを通り抜けてたどり着いた色。

銀の雲母粉を混ぜられた水浅葱色の雪華には、きらきらとした清潔な美しさがあり、
その隣で違和感なくぴったりと寄り添う最晩年の藍色には、
包み込むような穏やかな美しさがある。

 

ここに遊印はいらんかったな。

と、
蛇足のようになってしまった我が子がたいそう不憫。
ほんとにごめん。

 

機嫌良くいきましょ
藤井あき乃