さようなら ごきげんよう
私が中学生だった頃、
友人が通っていた学校での別れ際の挨拶が「ごきげんよう」だと聞いて、
「なんて優雅なのだろう!!!」と、
結構な衝撃を受けた記憶がある。
下校時などに先生とすれ違うと、
先生が「ごきげんよう」と言ってくれ、
生徒は「先生さようなら ごきげんよう」と言うのだと教えてくれた。
そのころの私は反抗期勃発中で、
生意気を極めることを目指し、とにかくなんでも否定するような心持ちで毎日を費やしていたのに、
「ごきげんよう」という挨拶を気品があって美しいと心底感じ、
そういう挨拶の仕方を学校生活で身につけられる友人を、
とてもうらやましく思った。
オトナになっても折ある毎に思いだし、
自分でも言ってみたいと思いつつ、
今日まで一度も言えたことがない。
言われたこともないな。
きっと今でも
普段に「ごきげんよう」と言い交わしている人たちはいるだろうと想像するが、
会えない。そういう人たちに。
そしてこのままだと、
「ごきげんよう」を一度も口にすることなく人生を終えてしまいそうなので
印にしてみた。
口で言えないなら捺して伝えるのもいい。
(まったく未完成の印ですが。まだまだこれから。)
きげんよくいきましょ
藤井あき乃