紫式部が愛した紙

紫式部が愛した紙

紫式部が愛した紙
藤原道長と「椙原庄紙(すぎはらしょうし)」 戸田善規著

 

紫色のカバーがとてもとても!綺麗で目を惹くが、
カバーだけでなく本の装丁そのものがたいそう美しくて惚れ惚れする。
図録などは別として読みかけた本がそこに置いてあるだけで、
気分をあげてくれるということはありそうでない。
見かけも大事ねとつくづく思う。

 

著者は「源氏物語」も「枕草子」を記した紙も、
兵庫県多可町産の「椙原庄紙〔現在の杉原紙に繋がる紙〕」に違いない」と考え、その考察を本書で述べられている。

 

紫式部はどのような料紙を用いて「源氏物語」を清書したのだろう。
清少納言も然りで「枕草子」が書かれたのはどこの産紙なのだろう。
彼女たちは「貴重で入手しがたかった良質の紙」をなぜ大量に使えたのだろう。
藤原道長や藤原行成、藤原実資の「日記」はどこの産紙を使っているのだろう―――と。

紫式部が愛した紙 戸田義規著

 

 

まだ50ページほどしか進んでいないので、
本題まで辿り着いていないのだけど、
和紙の歴史について詳しく!!書かれていてとても興味深い。

各地域における製紙の始まりと発展の過程を、
時の政、制度などとあわせて解説されていて、
たいへん面白く読み進めている。

諸条件がうまい具合に重なって始まるその地域のモノ作りは、
諸条件が変わってゆくことで、
あるいはそこで実際に携わる人によっても、さまざまに変化してゆくにちがいない。

例えば、その地域で豊富に採取できていた材料が採れなくなった時、
仕方ないとやめてしまうのか、
工夫と試行錯誤を重ねて新しい紙を生み出す努力をするのか。

今も手漉きの和紙作りが絶えていないところは、間違いなく後者だが、
そんなことを思いながら。。。
自分の手元にある手漉き和紙を眺めていると愛おしさが増す。

 

そしてこの本は、
思いがけないご好意が繋がって私の手元に届けられた本でもある。
人の好意が途切れずに続く有り難さを思う。
温かくていいなって。。。こころから思う。

感佩
藤井あき乃